「このままでいいのか?」と感じたら──ミドル世代が『キャリア停滞期』を乗り越える方法

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停滞を打破する5つのアプローチ

キャリアの停滞を感じたとき、多くの人は「何かを変えなければ」と思いながらも、具体的に何をすればいいのか分からず、結局現状維持を選んでしまいがちです。しかし、停滞感を放置していても、勝手に状況が好転することはありません。

重要なのは、“大きく変わる”ことではなく、“少しずつでも動き出す”ことです。ここでは、今日からでも始められる、停滞から抜け出すための5つのアプローチをご紹介します。

1. 自分のキャリアを「棚卸し」する

停滞していると感じたとき、最初に取り組むべきは「立ち止まって、自分を見つめ直すこと」です。

  • これまで自分はどんな仕事をしてきたか
  • 何にやりがいを感じ、何にストレスを感じてきたか
  • どんなスキルや強みを持っているか
  • 今後どんな働き方を望んでいるか

こうした問いを自分自身に投げかけ、振り返ることで、自分の価値や方向性が見えてきます。紙に書き出したり、キャリアの年表を作ってみたりするのもおすすめです。特に10年以上の社会人経験があるミドル世代にとって、振り返りは“宝探し”に近い作業です。埋もれていた経験や実績に気づき、自信を取り戻すきっかけになるでしょう。

2. 「これからの10年」を逆算思考で描く

ミドル世代にとって、定年やセカンドキャリア、ライフスタイルの変化など、10年先の未来はより現実的なものになってきます。だからこそ、“逆算”の視点が重要です。

たとえば、「55歳で独立したい」と思うなら、今から準備すべきことは何か?
「60歳以降も働き続けたい」と考えるなら、どのようなスキルや働き方を身につけるべきか?

将来をただ漠然と不安に思うのではなく、“自分で描く未来”を明確にすることで、行動の方向性が定まり、日々のモヤモヤが前向きなエネルギーに変わっていきます。

3. 学び直しとスキルのアップデートに挑戦する

「今さら学ぶなんて…」と思う方も多いかもしれませんが、学び直し=若手のようにゼロから勉強すること、ではありません。自分の強みを活かしつつ、今後のキャリアの幅を広げるような“実践型の学び”を選ぶのがポイントです。

具体例としては:

  • DXやデジタルマーケティングなどのオンライン講座を受けてみる
  • 興味のある資格取得を目指してみる(中小企業診断士、キャリアコンサルタントなど)
  • 社外の勉強会やワークショップに参加し、異業種の人と対話する

こうした学びの場は、単なる知識の習得だけでなく、自分の価値観を広げるきっかけになります。さらに、行動した自分に対して“自己効力感”が高まり、キャリア停滞の打破に繋がります。

4. 社内外の“ゆるいつながり”を広げる

「ネットワークづくり」と聞くと、何か特別な交流会に出向くイメージを持つかもしれませんが、ここでいう“つながり”はもっと自然で身近なものです。

  • 昔の同僚に久しぶりに連絡してみる
  • 興味のあるテーマでSNSの発信をしてみる
  • 社外のコミュニティやイベントに気軽に参加してみる

こうした“ゆるいつながり”は、自分の視野を広げると同時に、「他の場所でも自分が通用するかもしれない」という自信をもたらしてくれます。また、思わぬ仕事のきっかけや転機に繋がることも珍しくありません。

5. 他者と比較せず、“自分基準”を持つ

キャリアの停滞を感じやすくなる一因として、「周囲との比較」があります。特に、同年代の同僚が出世していたり、転職して活躍していたりすると、自分だけ取り残されたような気持ちになることもあるでしょう。

しかし、キャリアには“正解”がありません。人それぞれの人生に合わせたペースがあり、ゴールも違います。他者と比較するほど、不安や焦りは大きくなるだけです。

大切なのは、「自分がどうありたいか」という軸を持つこと。そのためには、自分にとっての“幸せな働き方”とは何か、“豊かなキャリア”とはどんな状態かを、時間をかけて言語化していくことが欠かせません。

「停滞」は、次に進む準備の時間

これら5つのアプローチは、どれも大きなリスクを伴うものではありません。むしろ、今日からでも静かに始められる“準備”のようなものです。そして、この準備があるからこそ、いざ大きな決断を迫られたときに、ブレずに行動できるのです。

キャリアの停滞期は、ただの“足踏み”ではなく、次のステージへの“助走期間”でもあります。立ち止まることに意味があると信じて、小さな一歩から始めてみましょう。

実際に停滞期を乗り越えた人の事例

キャリアの停滞感に悩むのは、あなただけではありません。多くのミドル世代が、同じようにモヤモヤした時期を経験しています。しかし、その中には、自ら動き出すことで状況を打開し、新たなキャリアの充実を手に入れた人たちもいます。

ここでは、3人のケーススタディを通じて、「どんな行動が停滞感を打破するのか」「どんな小さな一歩が未来を変えるのか」を具体的に見ていきましょう。

事例①:社内で“眠っていた課題”に挑戦し、再びやりがいを取り戻した(50代前半・男性・製造業)

状況

長年、製造業の現場で工程管理・品質管理を担当してきたHさん。真面目な性格で部下からの信頼も厚く、役職も課長級に昇進。しかし近年は新しいプロジェクトの機会も減り、業務はルーティン化。
「このまま定年まで大きな変化なく過ごすのだろうか」と、強い停滞感を抱えていました。

行動

そんなとき、社内のある業務において「改善余地があるのでは」と感じ、誰に頼まれたわけでもないのに、改善提案書を作成。自ら少人数のプロジェクトを立ち上げ、若手と連携して進めていきました。

結果

半年後、そのプロジェクトはコスト削減・業務効率化の成功事例として社内で表彰。会社からの評価以上に、「自分がまだ組織に価値を生み出せる」という実感が、停滞感からHさんを解放しました。今では他部署の改善支援にも関わり、自分なりの“社内コンサル”としての道を歩んでいます。

事例②:副業で“好き”を形にし、本業への視点が変わった(40代後半・女性・広告代理店)

状況

忙しい広告代理店で営業を務めて20年のMさん。仕事には慣れ、成果も安定している一方で、「やりがいは感じない」「いつまでこの仕事を続けるのだろうか」と将来に不安を感じていました。
趣味でデザインを学んでいたものの、仕事とは無関係。どう活かせるか分からないまま、月日だけが過ぎていました。

行動

ある日、友人の紹介で小さな店舗のチラシ作成を請け負うことに。それがきっかけで、週末限定でデザインの副業を開始。最初は手探りだったものの、少しずつ依頼が増え、スキルと自信がついていきました。

結果

副業のデザイン活動を通して、改めて「人の想いを形にする楽しさ」に気づいたMさん。本業にも新しい視点を持ち込むようになり、営業活動にもクリエイティブな提案が加わり社内評価も上昇。
今では「副業=自己表現の場」「本業=組織との接点」として、どちらも充実させる働き方を実現しています。

事例③:社外コミュニティで学び直し、自分の市場価値に気づいた(45歳・男性・IT系企業)

状況

IT企業で中間管理職を務めるTさん。日々の業務に追われ、マネジメントに追われる毎日。「自分はこのまま“社内限定の人材”になってしまうのではないか」という危機感がありながらも、何も行動できないでいました。

行動

あるとき、友人に誘われて参加した“社会人向けの勉強会”が転機に。そこで異業種のビジネスパーソンと出会い、自分の経験や考えをアウトプットする機会が増加。
その後、自分の専門分野であるプロジェクトマネジメントをテーマに、社外セミナーで登壇するようにまでなりました。

結果

社内では気づけなかった「自分の強み」や「経験の価値」を実感できたことで、自信を回復。現在では、社外のネットワークを活かしながら次のキャリア(講師業・アドバイザー)の可能性を視野に入れて準備中。
「会社の外に視点を向けることで、初めて“自分のキャリアを選ぶ”という感覚が芽生えた」と語っています。

■ どの人も“完璧な準備”はしていなかった

3人の共通点は、「大きな決断」をしたというよりも、「まずは小さく動いてみた」ことです。はじめは不安や戸惑いがあっても、“やってみる”ことで得られる気づきや自信が、次のステップへの原動力になります。

停滞期を打破するのに、特別な才能や大きな変化は必要ありません。
必要なのは、「やってみたい」「気になる」と思ったその気持ちを、行動に移すほんの少しの勇気だけです。

変化を恐れず、一歩を踏み出す勇気を

キャリアの停滞期――それは、これまで懸命に走り続けてきたからこそ訪れる“節目”です。
特にミドル世代は、組織の中での役割が変わり、家庭や人生の責任も重くなるタイミング。その中で、「このままでいいのだろうか?」という問いが心に浮かぶのは、決して特別なことではありません。

ですが、停滞を感じること自体が、「次に進む準備ができている」サインでもあります。
これまでのように、上司や会社が進む道を決めてくれる時代は終わりつつあり、これからは自分のキャリアは自分で選ぶ時代です。
その選択は決して派手である必要はなく、小さな学び、ちょっとしたつながり、新しい習慣といった、一歩一歩の積み重ねで構いません。

むしろ、その“無理なく始められる小さな行動”こそが、数年後のあなたの未来を大きく変える可能性を秘めています。

今の延長線上に、あなたの望む未来はありますか?
もし「違う」と感じるなら、道をつくるのは、今日からでも遅くはありません。


■ 最後に:キャリアの主導権は、今もあなたの手の中にある

変化を恐れる必要はありません。むしろ変化は、自分を見つめ直し、磨きなおすためのチャンスです。
あなたのこれまでの経験は、決して無駄ではなく、これからのキャリアにおいても確かな「土台」となります。

キャリアの停滞期をどう捉えるかで、未来の自分が変わります。
不安なときこそ、自分の手で舵を取り直していきましょう。

そして、その最初の一歩は――“今ここ”から、始められます。

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